昭和レトロ長屋再生~職人の手で、古き良きを活かす~
2019(平成31)年 竣工
昭和49年築、大工である依頼主の祖父が丁寧に建てた家は大きな劣化や不具合もなく、大切に住まわれてきた記憶が残る長屋。着物やレトロ雑貨など和の文化が好きなご夫婦からの依頼で、長屋のもつ古き良き部分を上手く残しながら構造補強、設備、内外装の更新・再生を施した。
設備は最新のものとしながらも、型ガラスの建具、欄間、竿縁天井など既存の長屋の素材と調和するような仕上とした。
既存の壁や天井を残しながら耐震補強をするのはかなり難しい。全て取り払ってしまうか、上から被せて化粧だけしてしまう方が簡単だ。大工や職人の熟練の技術のおかげで、新築には絶対に出せない味わい深い住まいとなった。
竣工
■ダイニングキッチンからリビング ■キッチン ■リビングから和室
仕上げは、ラワン合板や和紙、杉床材など素朴な ステンレスとタイルのシンプルな造作キッチン 新旧の仕上げが混ざり合うリビングは、経年で
仕上げを採用し、既存の仕上げが浮かないよう落 下部収納は生活に応じて活用できるようオープンに。 馴染んでいくように。
ち着いたトーンでまとめた。
■リビングからダイニングキッチン ■玄関ホール ■洗面
畳の和室だった居間とダイニングキッチンを一体と 正面の壁にはお施主様の好きな作家の絵画が 掘り出し物のレトロタイルでまとめた洗面カウンター。
することで明るく開放感のある空間に。 飾られるそう。 鏡はアンティークショップで検討中。
工事前
■キッチン ■居間 ■玄関
外装と設備、一部の内装の改修だけで十分住める状況だったが、構造的に不安が残るため、構造補強を前提として改修プランを検討した。
施工
■2階小屋裏 ■キッチン解体 ■風呂解体
天井に一部雨漏り跡があり、新たに断熱材を 現状の間取りを極力崩さず、構造補強に必要 在来の寒い浴室は撤去し、ユニットバスに変更。
充填し、天井を張替。 な部分だけを撤去することでコストダウンを
図った。
補強
■生活動線を検討しながら、耐力壁を配置。 ■既存の壁や天井を生かしながらの構造補強は ■狭く、暗くなりがちな玄関は組格子の
大工の熟練の技術が必要。 耐力壁とし、明るさと開放感、アクセントを演出。